講師は才能じゃない。〜それでも、誰にでも向いている仕事ではない理由〜

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「講師って、やっぱり才能ですよね?」

現場で30年、講師として15年以上活動する中で、何度も言われてきた言葉です。 しかし、私はいつもこう答えます。

「講師は、才能じゃありません。覚悟です。」

そして、その「覚悟」とは特別なものではありません。 「自分の経験を、誰かの役に立てたい」——その一点だけです。


才能神話を壊す:私の初陣は「ボロボロ」だった

最初から上手く話せたわけではありません。

初めて人前に立ったとき。緊張で声は震え、膝はガクガク。 頭が真っ白になって、準備していた内容がすべて飛びました。 カンペを用意していましたが、そのカンペすら、どこを読めばいいのか分からなくなった。

目は文字を追っているのに、頭がついてこない。自分が何を喋っているのかすら自覚できない。 正直に言えば、「もう二度とやりたくない」とさえ思いました。

それでも、私は今も講師を続けています。理由は二つあります。


続けた理由1:努力が「形」になる瞬間の喜び

一つは、誰かが「なるほど!」と言ってくれる瞬間に立ち会えることです。 自分の言葉で、誰かの目の色がパッと変わる。あの表情を一度見ると、もうやめられなくなります。

講師の仕事は、準備が9割です。 スライドを練り直し、伝え方を工夫し、地道な準備を積み上げる。 その「目に見えない努力」が、受講生の「気づき」という目に見える形になって現れる。

キャンプで言えば、火起こしと同じです。 煙が出るまでの地味な作業を続けた先に、炎が生まれる瞬間がある。 あの瞬間の達成感は、他のどんな仕事でも味わえません。


続けた理由2:正直に言えば「報酬」も魅力だった

もう一つ、嘘偽りなく言えば「お金」です。

講師という仕事は、時給に換算すれば万単位になることも珍しくありません。 一回の登壇で、一般的な日給を遥かに超えることもあります。

ただし、その報酬には「責任」が乗っています。 相手の貴重な時間を預かり、その人の考え方、時には組織の未来まで変えてしまうかもしれない。 その重圧を引き受けるからこその報酬です。

50代以降に副業として講師を始める人に、これは特に刺さる話だと思っています。 若さや体力では勝てなくても、「経験の重み」と「責任を取れる人間力」は、年齢とともに増していくからです。


「覚悟」の正体

講師は「特別な人」の仕事ではありません。ただし、この3つを問い続けられる人の仕事です。

  • 人の成長を、自分のことのように喜べるか
  • 責任から逃げずに、舞台に立ち続けられるか
  • 自分自身も、変わり続けられるか

あなたがこれまで現場で積み上げてきた苦労も、涙も、成功も。 それは、今まさに同じ場所で悩んでいる誰かへの「答え」になります。

「自分の経験なんて……」と蓋をするのは、もったいない。 その経験には、あなたにしか語れない言葉が宿っています。


現場の経験を、価値に変える

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