「成功だけ積ませればいいのか? 失敗も必要なのか?」
スタッフの育成に悩む介護リーダーが一度は直面する問いです。
私自身、さまざまな現場で人を育ててきた中で、たどり着いた答えがあります。
それは──
✅ 成功体験は積ませるべき
✅ 小さな失敗も必要
✅ ただし、大きな失敗は避ける
今回はその理由と、実践のコツをお伝えします。
育成が上手くいかない原因は“複雑さ”と“忙しさ”
現場では、育成理論や研修方法がたくさんありますが、 実際に取り組もうとすると難しく感じることも多いはず。
その背景には:
- 現場業務と並行しながら育成を行う負担の大きさ
- 指導者側が十分な技術を持っていない場合がある
- 育成の時間と余裕が確保できない現実
そのため、「見て覚えて」「とりあえずやってみて」という場面も多く、 体系的な育成が難しい状況にあります。
成功体験は“スタッフ自身のもの”であることが大切
リーダーの成功を真似させるだけでは意味がありません。
なぜなら、リーダーの成功は:
- その人の価値観
- その人の技術や経験
- 特定の場面の判断
これらが複雑に絡み合った結果だからです。
つまり、新人が表面的に真似をしてもうまくいかないことが多いのです。
スタッフが本当に成長するためには、 リーダーと一緒に考え、実践し、自分の力で成功体験を積むことが必要です。
成功体験は「積み重ね」で判断力になる
1回の成功では意味がありません。
成功を何度も積み重ねることで、 「この場面ではこう判断しよう」という経験知に変わります。
判断力が育つと、スタッフは現場で“自分の頭で考えて動く”ようになります。
そのためには:
- 考える機会をつくる
- 行動してもらう
- 振り返りをさせる
この繰り返しが成長の土台となります。
小さな失敗は“最高の学び”になる
失敗は誰しも避けたいものですが、 実は“自分でリカバリーできる失敗”は、最高の学びになります。
- どこで判断を誤ったか?
- 次はどうすればいいか?
こうした問いが、スタッフの“考える力”を引き出します。
ただし、リーダーが見守り、必要に応じて支援できる範囲で。
この「安全な失敗空間」をつくることがリーダーの役割です。
経験しなくていい“大きな失敗”は避ける
- 利用者や職員に大きな影響を与える
- スタッフ自身が立ち直れなくなる
- 最悪の場合、退職を選んでしまう
こうした“大きすぎる失敗”は、リーダーの経験談で“疑似体験”として伝えることができます。
- 実際の失敗をシェアする
- 「その時、自分はどうしたか?」を話す
- 「どうすれば防げたか?」を一緒に考える
失敗から学ぶことは多い。
でも、潰れるほどの失敗は避けさせるのがリーダーの責任です。
まとめ:成功と失敗は“育成の両輪”
人は成功だけでは育ちません。 失敗だけでも立ち上がれません。
スタッフの成長には:
- 小さな成功の積み重ね
- 小さな失敗のリカバリー
- 大きな失敗の疑似体験
この3つのバランスが不可欠です。
そしてリーダーは、それを“安全に・段階的に”経験させる仕組みをつくることが求められます。
あなたの1つの問いかけ、1つの経験談が、 スタッフの大きな成長のきっかけになります。
明日も、育成という冒険に、一歩踏み出しましょう。
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