1. はじめに
「また気づいちゃった…」
「言ったら、自分の仕事が増えるかも…」
介護の現場で働いていると、そんなふうに思ったこと、ありませんか?
誰よりも先に利用者さんの変化に気づいてしまう。
誰も違和感を覚えていない中で、自分だけが「なんか変だ」と感じてしまう。
それが原因で、「なんで自分ばっかり…」とため息が出たり、
ときには「気づかなければ楽だったのに…」と思うこともあるかもしれません。
でもね、その“気づき”こそが、
あなたの中にある「人間力」のあらわれなんです。
2. 「気づける人」が損をする職場?
気づきの力がある人ほど、職場では「頼られすぎて疲れる人」になりがちです。
「また◯◯さんが気づいたの?」
「じゃあお願いできる?」
──そんなふうに、気づいた人が自然と「やる人」になる。
でも実は、その人こそが**現場の安全と安心を守る“キーパーソン”**なんです。
- 利用者の小さな変化に気づく → 転倒・誤薬・急変の予防に直結
- 「なんか変だな」をチームで共有 → 早期対応が可能に
- 医療・看護・リハとの連携もスムーズに
これはもう、単なる介護スキルではありません。
マネジメントスキルそのものだと言えるのです。
3. 気づき力の“正体”を分解してみよう
気づき力は、感覚だけのものではありません。
論理的に分解すると、以下の4つの力に分けることができます。
力の名前 | 説明 |
---|---|
感知力 | 表情・動作・声のトーンなど、ささいな変化を察知する力 |
推察力 | 「なぜそうなるのか?」という背景を読み取る力 |
予測力 | 「このままだとどうなるか?」を先読みする力 |
行動力 | 気づいたことに対して、行動を起こす力 |
これらの力は、介護職だけでなく、リーダーや管理職にも求められるもの。
つまり、「気づきが多い人」はすでに現場のプロフェッショナルなのです。
4. 無意識の“気づき”を、意識的なスキルに変える
多くの人が「気づき力はセンス」だと思っていますが、
意識的に伸ばすことができる力です。
💡 トレーニングのヒント
- 【記録する】「なぜそう思ったのか?」を紙に書き出してみる
- 【言葉にする】チーム内で気づきを共有する習慣をつける
- 【他者の感覚を聞く】自分と違う視点を知ることで、引き出しが増える
このプロセスを繰り返すと、
“感覚”が“再現可能なスキル”に変わっていきます。
5. まず、自分の“気づき”を信じてみよう
気づいたことを伝えるのって、勇気がいりますよね。
「思い違いだったらどうしよう…」
「余計なこと言ったって思われたくない…」
でも、あなたのその感覚は、
決して無駄じゃないし、間違いでもありません。
何度も小さな成功体験を積んでいくうちに、
あなたの気づきは「自信」へと変わっていきます。
6. 最後に:あなたの“気づき”が誰かを救っている
誰かが倒れる前に異変に気づいた。
困っている家族に、声をかけることができた。
職員の疲れた顔に気づき、休憩を促した。
それって、全部“気づき”から始まってるんです。
資格や技術も大切だけれど、
それ以上に価値のあるもの──
それが「あなたの気づき力」=人間力です。
だから、どうかその力を誇りに思ってください。
そして、周りの誰かが同じように悩んでいたら、
こう伝えてあげてください。
「それ、すごい才能だよ」
🔄 次回予告
📘 第2話
👉『気づきの感覚をどう育てるか?〜新人教育に活かす方法〜』
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