ここでは、「気づき」というとても貴重な情報を、“気づいて終わり”にしないための方法を紹介します。
その違和感や観察こそが、利用者のQOL(生活の質)に直結する情報です。
気づきはチームで活かしてこそ意味がある——
そんな「気づきの共有文化」を、あなたの職場にも根づかせていきましょう。
1. はじめに
気づくことは、ゴールではありません。
むしろ、それは“スタートライン”です。
どんなに鋭い気づきも、自分の中だけで止めてしまえば、
ただの“モヤモヤ”で終わってしまいます。
本当に大切なのは──
その気づきを、どう行動に変え、チームへと“つなげる”か。
それこそが、現場を動かす力になります。
2. なぜ「共有」が重要なのか?
介護現場では、たったひとつの気づきが:
- 利用者の異変への早期対応
- ケアの質の向上
- チームの信頼関係の構築
といった、現場全体にポジティブな波を起こします。
でも、その気づきが共有されなかったら……
- 「あれ?なんで言ってくれなかったの?」
- 「ひとりで判断してたの?」
そんな“すれ違い”がチーム内に生まれ、
連携が断たれ、信頼が揺らぐこともあります。
もし事故が起きれば、そのダメージは計り知れません。
共有されなかった気づきは、大きなリスクにもなりうるのです。
3. 「共有する力」は、技術です
「気づいたことをただ伝えればいい」──
それだけでは、うまく伝わらないこともあります。
伝えるには、
- 相手に伝わる“言葉選び”
- 空気を読む“タイミング”
- 一方的でなく“相談”としての姿勢
といった、「技術(スキル)」が必要です。
4. 実践!共有スキルの3ステップ
🟩 ステップ①:事実ベースで言語化する
✖️「なんか不安そうだった」
✔️「○○さん、今日は10分おきにナースコールを押していました」
→ 観察された“事実”をもとに伝えると、伝わりやすくなります。
🟩 ステップ②:「解釈」と「懸念」を添える
✔️「いつもより排尿回数が多くて、もしかすると尿路感染かもしれません」
→ 感知+意味づけ+仮説 の3点セットで伝えると、相手に納得感を与えられます。
🟩 ステップ③:他の視点も求める
✔️「私の見方だけかもしれません。他にも何か気づいたことがあれば教えてください」
→ 「相談」として共有することで、チームの知恵と視点を引き出せます。
5. 「安心して共有できる文化」を育てよう
どんなに気づき力があっても、現場にこんな空気があると、声を上げづらくなります。
- 「間違ってたらどうしよう…」
- 「忙しそうで話しかけにくい…」
だからこそ、リーダーやベテランが“受け止める姿勢”を示すことが大切です。
- 「ナイス視点!」
- 「それ、ありがたい気づきだね」
- 「他の人にも確認してみよう」
こうした言葉ひとつで、共有のハードルが下がり、
“言い出せる職場”が育っていきます。
6. 最後に:「気づいたら、つなげる」
気づきは、現場からの“小さなサイン”。
そのサインを見逃さず、「共有」という形でチームにつなげる——
それこそが、ケアの質を支える根っこです。
あなたの気づきが、
誰かの気づきとつながり、
やがてチーム全体の力になりますように。
💬 ケア壱の名言:「情報共有ができている職場のリーダーは、常に現場の“変化”をチームで掴んでいる。」
🔄 次回予告
📘 第4話
👉『気づきすぎて疲れた人へ〜感受性とセルフケア〜』
🔙 前回のお話
📘 第2話
👉『気づきの感覚をどう育てるか?』〜新人教育に活かす方法〜』
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