1. はじめに
「それ、知ってます」
でも、気づいたらまた同じ対応をしてしまった…。
介護の現場でよく聞く、そして誰もが一度は経験したことのあるこのモヤモヤ。
知ってるはずなのに、できない。
それは、あなたの努力ややる気の問題ではありません。
このシリーズでは、「知識を行動に変える力=成長力」を育てるヒントを、
ケア壱と一緒に、ゆっくり丁寧に探っていきます。
2. 「知ってる」「わかってる」だけでは足りない理由
◆ 認知的不協和って知ってる?
「甘いもの控えなきゃ…」
と言いながらケーキを食べる。
そのあと「今日は疲れたし、いいよね」と自分を納得させる。
これは心理学でいう「認知的不協和」。
介護でも同じことが起きています。
頭では「こうした方がいい」とわかっていても、
疲れや忙しさ、感情が先に出てしまうんです。
◆ ワーキングメモリ(作業記憶)の限界
人の脳は、同時にいろんなことを覚えておけません。
「次はお風呂介助…その後、薬を準備して…」
→ 「優しい声かけ」が抜け落ちる。
これ、誰にでもあること。
だから「知ってるけどできない」のは、脳の性質に逆らってるとも言えるのです。
3. よくある“ズレ”の具体例
◾ 物忘れに対して…
利用者:財布がない!誰かに盗られた!
職員 :さっきしまいましたよ。忘れたんですか?
悪気はない。
でも、これは「正しさ」が勝ってしまったパターン。
本当は、「そうだったんですね。不安でしたね」と寄り添いたかったはずなのに…。
◾ 同じ質問の繰り返しに対して…
利用者:今日、何時に帰れるの?(10回目)
職員 :さっき言ったでしょ…
わかってる。繰り返しても否定しちゃいけないって。
でも、疲れてるとき、焦ってるとき、心の余裕がないとき、
つい出てしまうのが、この言葉。
4. 「知ってる」は、ゴールじゃなくて“スタート”
本当の成長はこう進んでいきます:
知ってる → わかる → できる → 無意識でできる
つまり、「知ってる」は第一歩。
それを行動に落とし込む仕組みがあるかどうかが大切なんです。
5. 最後に:できないあなたは、ダメじゃない
「知ってるのに、できない」
それは、あなたが未熟だからではありません。
- 忙しさやストレス
- 脳の仕組み
- 感情のゆらぎ
その中でも、少しずつ「できること」を増やしていけたらいい。
成長力は、誰にでも備わる力。
このシリーズを通じて、一緒にその力を育てていきましょう。
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📘 第2話
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