1. はじめに
あれ?なんか、今日はうまくいった気がする…。
そんな感覚をふと抱いたことはありませんか?
利用者さんの反応がやさしかったり、自然に声かけができたり。
それは、あなたの中で
「わかっている」ことが「できている」に変わったサインかもしれません。
この第3話では、“成長が形になって現れる瞬間”についてケア壱と一緒にたどってみましょう。
2. 「なんか、うまくいってる」その理由
利用者さんが「帰る」と言い出したとき、
今日は不思議と落ち着いて対応できた。
いつもなら焦っていた場面で、
なぜか自然に言葉が出て、相手の表情が和らいだ。
それは、「知識」や「理解」が、あなたの中で**“根づき始めた”証拠**です。
3. 相手の気持ちが“見えた”とき
ケア壱も、こんな経験をしたことがあります。
◾ 帰宅願望のケース
ある利用者さんが、毎日のように
「帰らせて!家が心配!」と訴えていました。
当初は「もう夕方ですから」「お迎えがありますよ」などと返していましたが、
ある日、ふとこう尋ねたんです。
「家には、どんな方がいるんですか?」
すると、その方は目を潤ませながら
「息子が…あの子ひとりじゃ…」と話し出しました。
その瞬間、心にストンと落ちたのです。
この人は“帰りたい”んじゃなく、“誰かを心配してる”んだ。
「息子さん、きっと大丈夫ですよ。あなたが育てたお子さんですもんね」
この言葉が自然に出てきたとき、
ケアの軸が一段深まった気がしました。
4. 科学的にも、“できている”は進化の証
この変化は、脳科学でいう「ニューロプラスティシティ(神経の可塑性)」に支えられています。
◆ よく使う神経回路は、太くなる
「理解 → 行動」を何度も繰り返すと、そのルートが強化され、
無意識でも対応できるようになります。
◆ 成功体験は“習慣”になる
「うまくいった」と感じたことは、
脳が「これ、いいね!」と記憶に残し、繰り返しやすくなります。
だからこそ、「自然にできた」ことに気づくことが大切なんです。
5. 腑に落ちると、世界が変わる
「あぁ、こういうことだったのか」
そんな腑に落ちた瞬間こそが、
「できる自分」へのステップアップになります。
それは、マニュアルでは教えてくれない、
**“実感から生まれる成長”**です。
6. 最後にひとこと:「うまくできた」経験を大事に
介護の現場では、失敗や反省に目が向きがちです。
でも、本当に大事なのは…
「うまくいったとき」にこそ、立ち止まって考えること。
- なぜ伝わったのか?
- 何を感じ取ったのか?
- どんな言葉が自然に出てきたのか?
この**リフレクション(内省)**が、「再現できる力」へと育っていきます。
🔄 次回予告
📘 第4話
👉『「できている」ってどういう状態?〜再現できる力の育て方〜』
🔙 前回のお話
📘 第2話
👉『「やっている」けど「わかっていない」介護の落とし穴』
📚 成長力シリーズまとめページ
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