『「やっている」けど「わかっていない」介護の落とし穴』〜形だけじゃ、伝わらない〜

気づきと成長

1. はじめに

やさしく声かけしたのに、なぜか嫌がられた…。
手順通りにやったのに、反応がよくなかった…。

こんな“モヤモヤ”を感じたこと、ありませんか?

第1話では「知ってるのに、できない」についてお話ししました。
今回はもう一歩進んで、「できてる“つもり”だけど、伝わっていない」
そんな**“表面的な介護”と“本質的な理解”の差**について、ケア壱と一緒に掘り下げていきます。


2. 「やってるのに、伝わらない」理由

たとえばこんなやりとり。

利用者:お家に帰らなきゃ
職員 :今は外に出られませんよ(やさしい声で)

一見、やさしい対応に見えるけれど、
内容は**“否定”**です。


3. 表面的な対応 vs 本質的な理解

もう一度、同じ場面を見てみましょう。

◾ 表面的な対応

「帰れませんよ」「今は無理ですよ」

→ 声はやさしいけど、内容は正論でブロック


◾ 本質的な理解からの対応

「お家が気になってるんですね」
「何か大事な用事があったんですか?」

→ 相手の気持ちを受け止め、背景をくみ取る関わり。


同じ「声かけ」でも、伝わるものは全く違います。
これは、「やり方」ではなく、「意味の理解」があるかどうかの違いです。


4. なぜ“ズレ”は起きるのか?

◆ 自己決定理論(内発的動機づけ)

人は「意味のわからない行動」を続けるとストレスを感じます。
逆に、「なぜそれをやるのか」が自分の中でつながっていれば、自然に工夫が生まれます。

マニュアル通りにやっても、意味がわかっていなければ「ただの作業」。

意味が理解できているかどうかが、反応の差や応用力に大きく影響します。


5. 「うまくいかない」のは、あなたのせいじゃない

「やってるのにうまくいかない…」
「自分には向いてないのかも…」

そんなふうに感じたとき、
それは**“技術不足”ではなく、“意味づけ不足”**かもしれません。

“行動の裏にある気持ち”を感じ取る視点が、
現場の対応を大きく変えるカギになります。


6. 見えていないものを感じ取る力

「やさしく言ったのに怒られた」
「何度説明しても混乱してしまう」

こうした場面で“うまくいっている人”は、
表に出ていない気持ちや背景に反応しているのです。

それはスキルではなく、「あり方」からにじみ出るもの。

だからこそ、マニュアルだけでは伝わらない。
“意味”を理解し、相手の気持ちにチューニングする感性が必要なんです。


7. 最後にひとこと:形よりも、意味に気づこう

介護は「やり方」だけではうまくいきません。
本当に大切なのは:

  • どう言うかではなく、なぜそう言うのか
  • 何をするかではなく、何を感じて動くか

表面をなぞるのではなく、その行動の“意味”に気づけるか
それが、ケアの深さを大きく変えていきます。


🔄 次回予告

📘 第3話
👉「わかっている」から「できている」に変わる瞬間


🔙 前回のお話

📘 第1話
👉「知ってるのに、できない」ってどういうこと?


📚 成長力シリーズまとめページ

👉 まとめを読む

コメント

タイトルとURLをコピーしました