
ケア壱さん、また“財布が盗られた!”って大きな声で訴える利用者さんがいて……ちょっと困っちゃいました

うんうん、それは現場でよくあるねえ。驚いたり、対応に迷ったりする気持ちも、ようわかるよ

つい、『またか……』って思っちゃって。でも、誰かを疑うような言い方もされてて、こっちもドキドキするというか……どう接したらいいのか、正直わからなくて

よし、今日はその“盗られた”という言葉の裏側にある気持ち、いっしょに見てみようか
疑いの言葉の奥にある“こころ”

まずね、“盗られた”って言葉をそのまま真に受けるんじゃなくて、その人が今どんな気持ちでいるのかを想像してみるのが大事なんよ

気持ち・・・ですか?

うん。財布が見当たらない、でもどこに置いたか思い出せない……そんなとき、若い人でも焦るよね?飲みすぎた時とか、本当に思い出せないからね・・・

はい、僕でも不安になります

ましてや認知症があると、記憶がつながらなかったり、今いる場所が安心できるところじゃなかったりすると、ただ“物がない”以上の不安を感じるんよ

……“取られた”って言うのは、誰かを疑ってるっていうより、混乱や不安のあらわれなんですね

そう!つまり“疑う人”というより、“不安な人”として見てみると、対応が変わってくるんよ
現場での具体的な関わり方

でも、具体的にはどう対応したらいいんでしょう?

例えば、“一緒に探しましょうか”って寄り添うのが一つ。無くなった物が見つかることもあるし、“一緒に”って言葉が安心を与えるんよ

たしかに、『自分だけじゃない』って思えるだけで違うかもしれません

あと、“この間もここに置いてましたよね”とか、“誰かが預かってるかもしれませんね”って、自然な流れで安心できるように声をかけるのも大事

真に受けるんじゃなく、否定もしない。ちょうどいい距離感が大切なんですね

そうそう。否定は厳禁やね。記憶障害があると、「”あるはずの物がない”=”取られた”」がその人の”事実”だからね。大切なのは、“本人が困ってる”というところに目を向けること。それを忘れんようにしたいね。
気づきとまとめ

“盗られた”って言葉に振り回されそうになってたけど、その奥の“助けてほしい”って気持ちに目を向けるだけで、違う見え方になるんですね

うん、不安や混乱の中で出る言葉は、その人なりの“SOS”なんよ。そこに気づけるかどうかで、ケアの質も変わってくると思う

ちょっと見方を変えるだけで、対応も自分の気持ちも軽くなる気がします

いいこと言うねえ。現場は日々いろんなことが起こるけど、こうやって一つひとつの出来事から、気づきを育てていけるといいね
📝ポイントまとめ
- 利用者の「盗られた」は、不安や混乱のサイン
- 否定せず、寄り添う姿勢が安心感につながる
- 「一緒に探しましょう」「ここに置いたかもしれませんね」などの声かけが有効
- “疑う人”ではなく“困っている人”として見る視点が、ケアの質を高める
💬 ケア壱の名言
「言葉に隠された、相手の気持ちに気づくとケアの質は変わる」
🔗 他の認知症ケア記事はこちら
👉 CRP記事一覧 〜“その人の世界”を理解する 認知症ケアのヒント集〜
コメント