「さあ、お風呂に入りましょうか」
「イヤ!今日は入らない!」
こんな場面に戸惑った経験、ありませんか?
入浴は大切だと分かっていても、強く拒否されると困ってしまいますよね。
でもその“イヤ!”の奥には、ちゃんと理由があります。
この記事では、認知症のある方が入浴を嫌がる背景や、
日常で使える声かけ・環境づくりの工夫を、
ケア壱の視点でやさしくお届けします。
◆ なぜ、お風呂がイヤなのか?
認知症のある方にとって、浴室は「不安がいっぱいの空間」です。
たとえば…
- 照明がまぶしい
- 床が滑りそうで怖い
- シャワー音がうるさくて不快
- なぜ裸になるのか分からない
- 他人に体を見られるのが恥ずかしい
さらに「今がいつか」「どこにいるのか」が分からなくなっていると、
浴室という空間が“非日常”になり、恐怖や混乱につながってしまうこともあります。
◆ ケア壱のヒント|対応の工夫
❏ 「お風呂」と言わない工夫
- 「足だけ温めようか?」
- 「顔を拭いてさっぱりしようか?」
- 「温泉ごっこしようか?」
“お風呂”という言葉を避けるだけで、心理的ハードルが下がることがあります。
❏ 部分浴から少しずつ
最初から浴槽を目指さず、「手浴」「足浴」からスタート。
段階的な慣れが安心感を生みます。
❏ 五感にアプローチする
- 照明をやわらかくする
- 好きな音楽や香りを取り入れる
- 浴室をしっかり暖める
「安心できる空間」をつくることが、入浴拒否を和らげる第一歩です。
❏ 無理に入れない
「いいから入りなさい!」はNG。
それが“恐怖体験”になって、次からもっと拒否される原因になります。
「今日はやめておこうか」と一歩引く勇気も、大切なケアです。
◆ ケア壱の視点|入浴=気持ちよさの体験
「全部きれいにしなきゃ」と思うと、介護者の心も疲れてしまいます。
でも、「顔を拭いて気持ちよかった」だけでも、立派なケア。
完璧じゃなくていい。
その人にとって“心地よい”が生まれることが、ケアの本質です。
💬 ケア壱の名言
「気持ちよかった」で終わるケアが、最高の入浴支援。」
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